本稿の目的は,「産業のモジュール化が進んだ業界における各事業者の競争優位の変化を分析するフレームワーク」を提案することである。この提案は,具体的には,インターネット接続サービス(ISP)の事例研究を通じて行われる。ISP産業は,通信規格の標準化や(NTT等のインフラを利用した)部分的参入の奨励により,産業のモジュール化が最も進んでいる産業の一つだと考えられる。本稿では,まず過去におけるISP事業者の相対的競争力の変遷を分析することによってフレームワークの妥当性を示し,次に今後優位にたつ事業形態の予測手順を示すことで,分析フレームワークの実務的有効性を示す。
本研究は,「産業のモジュール化が進んだ業界における各事業者の競争優位は,保有するモジュールセットの違いによって基本的に制約される」という想定に基づいて行われている。