2004 年 13 巻 3 号 p. 79-95
従来,国家主導で行われた長期的で大型の研究プロジェクトに対してプロジェクトの推進にネガティブな影響を与える10の要因(NKF)が指摘されている。本報告では,このNKFを抑制しうるNPO型分散研究システムと呼ぶ新たな研究システムを,技術経営の重要な課題である日本型イノベーションシステムのひとつとして提案する。この研究システムは,NPOが①研究目標(研究のゴール)と使命を提示,②研究者相互の国際的な競争と連携促進のための場とルールの設定,③研究成果を活用した産学官セクターとの協働事業と市民参加型事業の企画・実施,の3つの役割を担い,この中核NPOと自律分散的な産学官の研究組織・研究者がネットワークされ,研究ゴールを目指す研究システムである。ビジョンドリブン性,競争と淘汰性,オープン性,協働性,自律分散性,低制約性の6つの組織特性によってNKFを抑制することが可能である。あわせて,この研究システムにおいて研究の活性化や実用化に寄与する9つのマネジメント施策を抽出し,RoboCupという実例の中でその効果を確認した。