現在の国際化社会は,世界秩序の新たな動揺など多くの課題にも拘らず,経済の相互依存性と相互関連性を強めている。とくに,G7のグローバル・ポリシー・ネットワークによって,国際間の課題は各国の政策決定過程が周知され,事態の極度の悪化が回避されている。経済ブロック化には進みにくい。アジア太平洋地域は世界経済の成長センターである。その一要因は運輸・通信・観光のインフラの発展による「トリプルT革命」にある。いいかえれば,「ネットワーク・インフラストラクチャー」の複合的な発展―ネットワーキングによる。他方,企業のグローバル戦略は市場の即応性と世界規模の効率性との機能統合が鍵である。ネットワーク・インフラにより実現されるローカル化(現地化)とグローバル化の中間に位置する開放的なリージョナル(地域主義)戦略は現実的であり,重要である。地域本部制はその中心機能である。グローバル戦略はリージョナリズムを開放的につなぐネットワーキングに依存する。
はじめに最近,混迷する世界秩序再構築の方向を見通すと,アジア・太平洋地域に対する注目度が高まっている。同地域が21世紀の初頭において,世界の成長センターであるという共通の認識の広がりにある。経営と情報の国際的広がりを具体化し,閉鎖的な地域主義を打破し,開かれたものとすることは,1930年代のブロック化への道を阻止するために不可欠である。
そこで,本論では4点からアプローチすることとしたい。①現在の国際化社会をどう捉えるか,②アジア太平洋地域の運輸・通信インフラと経済発展,③企業のグローバル戦略,④ リージョナル経営戦略論,である。