高齢化社会の進展に伴い消費の担い手として高齢者への期待が高まる一方,高齢者層におけるインターネットを通じた消費活動はいまだ発展途上にある.本研究では,オンラインショッピングに焦点を当て,高齢者の知覚リスクと意思決定がイノベーション普及に及ぼす影響の分析を試みた.プロスペクト理論を用いた意思決定とイノベーション普及モデルを組み合わせ,シミュレーションを行うことで,高齢者市場の成長メカニズムを明らかにした.分析の結果,高齢者市場におけるイノベーション普及プロセスは,高齢者のリスク回避特性のみならず,人々が価値参照点を維持しながら加齢し高齢化することで生じる意思決定の影響により特徴付けられることが分かった.年齢特性が及ぼす普及プロセスへの影響を理解し適切なマーケティング戦略を選択することで,高齢者に対するより効果的なイノベーション普及が可能になるものと考える.