米国の情報ハイウエイ構想や日本の新情報基盤整備など先進国における高度情報通信インフラ整備は急速な進展を見せているが,企業経営のグローバル化にともない海外でのインフラ整備状況が大きな影響を与えている。本論文ではアジアのインフラ整備の問題を日系企業の経営活動の面から分析するとともに,独自に実施したアジア進出日系企業へのアンケート調査をもとにして,インフラの未整備が与える影響を解明している。解析手法として集計表の作成のほか多変量解析などの手法を利用している。その結果,アジア諸国でも情報通信インフラ整備に差異が生じはじめており,タイ,インドネシア,フィリピンなど日本企業と深いかかわりをもつ国では投資に見合った改善がなく経営活動にも支障があることがわかる。しかし,一方で製造業ではインフラ未整備を克服する手段が講じられ,国により差異を解消する努力がなされていることがわかる。円高傾向は企業の途上国を中心とした海外展開をますます促進させると予想されるが,日本国内での情報通信の高度化と整合する形での途上国のインフラ整備が不可欠であることが結論づけられる。