本稿では,合成的アプローチの立場から,組織における協調的な知識活動の基本的なしくみを表す計算論的モデルを,分散人工知能の知的エージェント研究をベースに提案する.そのモデルにおいて,組織内での知識のやりとりの不完全性を想定し,外部環境に実用的に適応するための学習の方法を探究する。組織における意思決定と学習の動的な振舞いを表すために,スペシャリストモデルとゼネラリストモデルという,異なる種類の知識の補い方のダイナミクスをシミュレーションによって示す.次には,解を発見する問題のダイナミクスを表すモデルを考察する.最後に,そのようなモデルとシミュレーションの結果に基づいて,組織の知識活動を高めるための問題を,知識重視型経営手法,CSCW,組織学習というような異なる種類の手法の位置付けを明確にさせながら,構造的に議論する.