1999 年 8 巻 2 号 p. 1-12
大規模・複雑化が進む工場の経営・運用の核であるスケジューリングシステムにおいて、効率性とともにロバスト性が要求されている。そこで、生産システムスケジューリング問題について、システムの質的変化に柔軟に対応することを目的に、マルチエージェントパラダイムを適用した自己組織化スケジューリングの方法論を提案し、エージェント群の意思決定過程に対する考察を行う。まず、シンプルなアルゴリズムと必要最小限のセンサ・通信機能を前提とした非線形ダイナミクスに基づく引き込みの協調プロトコルについて定式化を行い、次にその定式化に基づきシミュレーションモデルを構築し、従来手法との比較を行うことで、自己組織化スケジューリングの特性評価を行い、その有効性を示す。さらに、非線形な外乱項である装置故障や特急ワークに対して、本スケジューリング手法は充分な高ロバスト性を有することを検証する。最後に、提案する自己組織化スケジューリングに特徴的な要素として、生物界や社会活動における集団意思決定・合意形成と深い関わり合いを持つ「リーダーシップ現象」の存在を確認し、自己組織化生産スケジューリングにおけるエージェントの集団意思決定過程を把握することを示す。