現在、複数の産業においてビジネス形態変化を伴う急激な構造変化が起こっている。たとえば、従来は、製薬・医療産業では、各サプライ主体(製薬企業や病院など)はほぼ類似したビジネス形態を持ってきた。しかし、情報ネットワークの進展が促す空間市場化や技術革新、規制緩和などの環境変化に伴い、ビジネス形態の多様化が起こっている。製薬・医療産業でも、バリューチェーンの一部のみを担うアウトソーサーや、ゲノムベンチャーなどが次々と参入しており、特に急成長している企業では、新しいビジネス形態を持つ企業が多く見られる。
本稿では、産業における各企業のビジネス形態を位置づけるための新しいモデルの提案を行う。さらに、その妥当性を製薬・医療産業の事例で確認するとともに当該産業の将来予測にこのモデルを使うことでどのようなビジネス形態が今後実現されるかについて考察する。提案されるモデルは、産業の上流から下流までのバリューチェーンの視点と、事業の製品内容からインフラまでの事業階層の視点を交差させる点に特徴がある。ビジネス形態を網羅的に捉えた本モデルにより、企業が産業の中で果たす役割と位置づけが明確にできると考える。