2012 年 26 巻 3 号 p. 325-329
背景 : 政府は2015年までに交通事故死者数を3,000人以下とする目標を掲げた.
目的 : 自動四輪車の乗車位置間の頭部外傷受傷率を比較し日本の外傷予防の問題点に言及すること.
対象 : JTDB (Japan trauma data bank) に登録された2005年1月から2009年12月に発生した交通事故の自動四輪車乗員のうちMAIS (maximum abbreviated injury score) 3+の傷病者を対象とした.
方法 : 頭部外傷AIS (abbreviated injury score) 1+, 2+, 3+, 4+, 5+そして6の傷害受傷率について乗車位置間で比較を行った.
結果 : 後部席乗員の頭部AIS 1+, 2+, 3+, 4+受傷率が運転席及び助手席乗員に比して高かった.
考察 : 日本の後部席ではシートベルト使用率が低く本結果の一因と推測される. 日本には事故と医療データを含むデータベースがなく傾向の原因追求ができない.
結論 : 自動四輪車後部席乗員の頭部AIS 1+, 2+, 3+, 4+受傷率が運転席及び助手席乗員に比して高かった. 日本の外傷予防を進めるためには事故と医療情報を含むデータベース構築と活用が必要だ.