日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
Print ISSN : 1340-6264
ISSN-L : 1340-6264
原著
自動四輪車乗員の頭部外傷受傷率における乗車位置間比較検討
本村 友一益子 邦洋横田 裕行ディエトマー オッテ
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 26 巻 3 号 p. 325-329

詳細
抄録

 背景 : 政府は2015年までに交通事故死者数を3,000人以下とする目標を掲げた.

 目的 : 自動四輪車の乗車位置間の頭部外傷受傷率を比較し日本の外傷予防の問題点に言及すること.

 対象 : JTDB (Japan trauma data bank) に登録された2005年1月から2009年12月に発生した交通事故の自動四輪車乗員のうちMAIS (maximum abbreviated injury score) 3+の傷病者を対象とした.

 方法 : 頭部外傷AIS (abbreviated injury score) 1+, 2+, 3+, 4+, 5+そして6の傷害受傷率について乗車位置間で比較を行った.

 結果 : 後部席乗員の頭部AIS 1+, 2+, 3+, 4+受傷率が運転席及び助手席乗員に比して高かった.

 考察 : 日本の後部席ではシートベルト使用率が低く本結果の一因と推測される. 日本には事故と医療データを含むデータベースがなく傾向の原因追求ができない.

 結論 : 自動四輪車後部席乗員の頭部AIS 1+, 2+, 3+, 4+受傷率が運転席及び助手席乗員に比して高かった. 日本の外傷予防を進めるためには事故と医療情報を含むデータベース構築と活用が必要だ.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本外傷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top