2013 年 27 巻 4 号 p. 383-386
69歳男性. 太いワイヤーと竹に両膝部を挟まれ受傷. 前医の造影CTで右膝窩動脈 (PA) の高度狭窄を指摘され, 血行再建目的に当科紹介となる. 転院時, 足背動脈 (DPA), 後脛骨動脈は触知できなかったが, ドプラーでは拍動性の血流を聴取した. 血管エコー, 血管造影でPA解離を認めたが, 造影遅延なく症状も改善傾向のため, 保存的加療の方針とした. 受傷3日目にDPAが触知可能となり, 受傷6日目に血管エコーでPAの内膜フラップも消失した. 以後症状の悪化なく, 受傷3ヵ月目のCTでは血管壁に軽度肥厚のみを認めた. 受傷約4ヵ月で右下肢の虚血所見なく退院した. 外傷性PA解離はまれであるため文献を加え報告する.