日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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27 巻, 4 号
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症例報告
  • 西山 雷祐
    原稿種別: 症例報告
    2013 年27 巻4 号 p. 379-382
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー

     腹部鈍的外傷後の胆管狭窄はまれな疾患で, 本邦で本例を含め79例の報告を認めるに過ぎず, 確立された治療法はない. 今回, 経乳頭的胆管ステントによる治療例を経験したが, 本例が8例目の報告であった. 開腹術や経肝的治療に比べ低侵襲であり有効な治療と考えられた.

     症例は42歳男性で, 右上腹部を100kgの鉄板で強打して受診し, 造影CTで III a型肝外傷と診断された. 入院時採血で認めた肝酵素上昇は自然軽快したが, 12病日に再度悪化した. MRCP, CTで血腫と炎症による下部胆管狭窄と診断した. 経乳頭的に7Fr9cmの胆管ステントを留置し, 17病日に軽快退院した. 受傷後6ヵ月で胆管ステントを抜去し, 3年経過したが肝酵素上昇の再燃を認めていない.

  • 岸本 諭, 浜崎 尚文, 佐伯 宗弘, 西村 元延
    原稿種別: 症例報告
    2013 年27 巻4 号 p. 383-386
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー

     69歳男性. 太いワイヤーと竹に両膝部を挟まれ受傷. 前医の造影CTで右膝窩動脈 (PA) の高度狭窄を指摘され, 血行再建目的に当科紹介となる. 転院時, 足背動脈 (DPA), 後脛骨動脈は触知できなかったが, ドプラーでは拍動性の血流を聴取した. 血管エコー, 血管造影でPA解離を認めたが, 造影遅延なく症状も改善傾向のため, 保存的加療の方針とした. 受傷3日目にDPAが触知可能となり, 受傷6日目に血管エコーでPAの内膜フラップも消失した. 以後症状の悪化なく, 受傷3ヵ月目のCTでは血管壁に軽度肥厚のみを認めた. 受傷約4ヵ月で右下肢の虚血所見なく退院した. 外傷性PA解離はまれであるため文献を加え報告する.

  • 高橋 哲也, 伊藤 敏孝, 金 崇豪, 榊原 里江, 原田 龍一, 武居 哲洋, 八木 啓一
    原稿種別: 症例報告
    2013 年27 巻4 号 p. 387-391
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー

     症例は65歳の女性. 既往歴に糖尿病なし. バイクで走行中に自動車と衝突した. 来院時意識清明であった. 右眼瞼は下垂し, 受動的に開眼すると右眼は外転位で眼球運動は外転のみ可能であった. 瞳孔は右5mm/左3mm, 対光反射では左は正常であったが右は直接・間接とも消失していた. 頭部CTおよびMRIで頭蓋内に異常所見を認めず, 軽症頭部外傷に伴う動眼神経単独麻痺の診断で保存的治療を行った. 受傷1年後には右眼は自力開眼可能となり, 眼球運動は上下方向の障害は残るものの内転可能であった. 瞳孔は右4mm/左3mmとなった. 頭蓋内損傷を認めない軽症頭部外傷に伴う外傷性動眼神経単独麻痺では, 眼球運動は日常生活可能な程度まで改善する可能性がある.

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