腹部鈍的外傷後の胆管狭窄はまれな疾患で, 本邦で本例を含め79例の報告を認めるに過ぎず, 確立された治療法はない. 今回, 経乳頭的胆管ステントによる治療例を経験したが, 本例が8例目の報告であった. 開腹術や経肝的治療に比べ低侵襲であり有効な治療と考えられた.
症例は42歳男性で, 右上腹部を100kgの鉄板で強打して受診し, 造影CTで III a型肝外傷と診断された. 入院時採血で認めた肝酵素上昇は自然軽快したが, 12病日に再度悪化した. MRCP, CTで血腫と炎症による下部胆管狭窄と診断した. 経乳頭的に7Fr9cmの胆管ステントを留置し, 17病日に軽快退院した. 受傷後6ヵ月で胆管ステントを抜去し, 3年経過したが肝酵素上昇の再燃を認めていない.
抄録全体を表示