抄録
症例は47歳,男性.既往にアルコール性肝硬変を認めた.来院2時間前に左季肋部を打撲し救急外来を独歩で受診した.収縮期血圧88mmHg,脈拍96回/分とショックであった.腹部造影CTでは脾上極の裂創と遅延相での造影剤漏出を認めた.選択的動脈塞栓術を施行した.施行後,収縮期血圧は100mmHg程度まで改善したが,ICU入室後再度ショックとなり手術を施行した.術中所見では腹腔内に噴出性の出血を認め,脾臓摘出術を行った.脾損傷分類(2008)Ⅱ型であった.来院から22時間後死亡した.脾損傷に対して動脈塞栓術を施行したが,既往症から止血困難で予測外死亡をきたしたため報告した.