日本外傷学会雑誌
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症例報告
肝硬変患者の脾損傷に対し動脈塞栓で止血できず予測外死亡をきたした1例
間山 泰晃砂川 宏樹小倉 加奈子卸川 智文中村 陽二大城 直人佐藤 彩粟国 克己
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キーワード: 脾損傷, 肝硬変, 予測外死亡
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2014 年 28 巻 3 号 p. 273-276

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抄録
 症例は47歳,男性.既往にアルコール性肝硬変を認めた.来院2時間前に左季肋部を打撲し救急外来を独歩で受診した.収縮期血圧88mmHg,脈拍96回/分とショックであった.腹部造影CTでは脾上極の裂創と遅延相での造影剤漏出を認めた.選択的動脈塞栓術を施行した.施行後,収縮期血圧は100mmHg程度まで改善したが,ICU入室後再度ショックとなり手術を施行した.術中所見では腹腔内に噴出性の出血を認め,脾臓摘出術を行った.脾損傷分類(2008)Ⅱ型であった.来院から22時間後死亡した.脾損傷に対して動脈塞栓術を施行したが,既往症から止血困難で予測外死亡をきたしたため報告した.
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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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