抄録
症例は69歳,女性,自宅で転倒し,外傷性くも膜下出血,左鎖骨骨折,左外傷性血気胸,左第2〜10肋骨骨折を伴ったフレイルチェストを受傷した.左第3肋骨の遊離骨片が不安定で胸腔内に突出し,肺損傷の合併の可能性が高いため,外科的治療を施行した.術翌日に人工呼吸器から離脱し,治療期間中に肺炎の発症も認めなかった.
フレイルチェストに対する肋骨固定用プレートを用いた治療は開胸を必要とせず,手術器械による肺損傷の心配もないため,安全で簡便であった.また胸郭変形の改善,人工呼吸器の早期離脱と肺炎予防の利点があり,有用であった.