日本外傷学会雑誌
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症例報告
冠状皮膚切開による両側減圧大開頭術が奏効した重症頭部外傷の一例
奥田 和功岸 文久升井 淳田中 淳池側 恭洋岡田 昌浩中川 淳一郎日野 裕志中條 悟遠山 一成島津 和久岸本 正文加藤 昇塩野 茂
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2017 年 31 巻 3 号 p. 391-394

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抄録

 症例は17歳男性. 自転車事故で頭部を受傷. 救急搬入時Glasgow Coma Scale (GCS) : E2V3M5で不穏あり, Computed Tomography (以下CTと略す) で両側前頭葉脳挫傷, 右急性硬膜下出血と診断した. 右穿頭血腫除去術後にintracranial pressure (以下ICPと略す) をモニターし, 低体温療法やバルビツレート療法を開始した. 第2病日にICPが30mmHgを上回り右脳室ドレナージで対処したが, 第4病日に再び上回りCTで正中変位のない脳腫脹が確認されたため, 両側減圧大開頭術を施行した. 術後は速やかに集中治療を終え, 徐々に意識回復した. 第44病日に頭蓋形成術を施行しリハビリ継続の後, 第215病日に自宅退院となり復学し得た. 集中治療中の頭蓋内圧亢進に両側減圧大開頭術が奏効し, 有効な手段であると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
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