軽微な外傷後に, 仙骨骨折と仙骨嚢胞の破裂により髄液漏を生じ, 低髄液圧症状を呈したが, 保存的治療により軽快したまれな症例を経験した. 68歳の女性が, 自己転倒による臀部痛を主訴に徒歩受診した. 画像所見より, 仙骨脊柱管内に嚢胞があり, これに圧迫され菲薄化した仙骨に骨折を認め, 仙骨前面に嚢胞破裂による髄液漏を伴っていた. 頭部挙上により出現する頭痛, 嘔気, めまいがあり, 髄液漏による低髄液圧症状と診断した. 髄液漏は翌日には著明に増加していたが, 安静, 輸液等による保存的治療により頭痛は徐々に改善し, 受傷8日目には髄液漏はほぼ消失していた. その後, 離床を進めるも症状の再燃なく, 受傷21日目に軽快退院となった.
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