2017 年 31 巻 3 号 p. 400-404
脾外傷に対する非手術療法の合併症である遅発性出血には脾仮性動脈瘤の重要性が指摘されているが, 小児例における治療的アプローチは明らかでない. 今回, 異なる臨床経過を呈した3小児例を経験したので報告する. 症例1 : 受傷時に仮性動脈瘤は認めず, 第2病日の遅発性出血時に診断し塞栓術を施行した. 症例2 : 受傷時に認めた仮性瘤が第3病日までに急速に増大し, 塞栓術を施行した. 症例3 : 第8病日に診断した仮性瘤の第13病日における消失を認めた. 小児脾損傷に対する非手術的治療における血管損傷の経時的評価は必須であり, 仮性瘤を疑う所見があれば, 成人と同様に積極的な選択的脾動脈塞栓術を考慮すべきであると考える.