日本外傷学会雑誌
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臨床検討
重症外傷による気道緊急・呼吸不全に対しvenovenous extracorporeal membrane oxygenation (VV-ECMO) を使用した9例の検討
伊藤 裕介松岡 信子尾北 賢治五十嵐 佑子小濱 圭佑佐藤 秀峰澤野 宏隆林 靖之
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2019 年 33 巻 4 号 p. 366-372

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抄録

 近年, 重症呼吸不全においてvenovenous extracorporeal membrane oxygenation (以下VV-ECMO) の使用の有用性が指摘されている. しかし, 外傷症例については出血リスク等により敬遠されてきた. 今回2007年4月から2018年3月までに当院へ搬送された外傷症例のうちVV-ECMOを使用した9例を後方視的に検討した. 9例中5例 (55.6%) が生存し, 導入によりpH, PaCO2の改善をもたらした. 死亡例2例にECMO導入により循環動態の増悪を来たした可能性が考えられた. 本治療法は重症外傷に対しても有用である可能性があるが, 導入時の循環血液量の確保と, 損傷部位に応じた返血部位の検討が必要であると考える.

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© 2019 一般社団法人 日本外傷学会
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