2022 年 36 巻 2 号 p. 39-46
超急性期の大量出血を伴う重症体幹部外傷患者の予後を規定するのは迅速で的確な止血である. Damage control surgery (DCS) における超緊急止血術は手術が主体であった時代から, より低侵襲なinterventional radiology (IVR) を併用する時代へと変化した. そして手術とIVRは “best partner” として同等に扱われる時代が到来するとともに, damage control interventional radiology (DCIR) という概念も出現し, さらにこれを安全に実施できるhybrid emergency room (hybrid ER) も登場した. これからの治療戦略は, 手術とIVRのいずれかに治療が偏ることなく, 24時間, 365日, 適切にDCSとDCIRが実施できることが求められる. この両止血戦略は一体的な提供が必要でありdamage control hemostasis (DCH) といえる戦略に包括できる. これを実施できる施設が「外傷蘇生センター」と考えられ, こうした施設を全国に適正に配置することがわが国の外傷死減少に貢献すると考える.