2024 年 38 巻 4 号 p. 526-536
【目的】頭部外傷の損傷部位・形態別の疫学的記述を行う. 【対象・方法】2004-2019年に日本外傷データバンクに登録され, 頭部にAbbreviated Injury Scale (AIS) 重症度スコア2-6の損傷を有する105,867例を対象に, AISコードで損傷部位・形態別に分類し, 頻度, 年齢, 受傷機転, 院内死亡割合, 合併損傷を記述した. 【結果】部位の9割を大脳が, 形態の5割をクモ膜下出血が占めた. 年齢分布は損傷部位・形態により異なり, びまん性軸索損傷, 硬膜外血腫は若年者が多く, 硬膜下血腫, 脳内血腫, クモ膜下出血は高齢者が多かった. 受傷機転は転倒・転落・墜落が多かった. 院内死亡割合は, 部位別は脳幹で, 形態別は脳腫脹で高かった. 頭部外損傷部位は, 脳神経・下垂体損傷, 硬膜外血腫, 骨折で顔面が多く, 全体では胸部と上肢が多かった. 【結語】損傷部位・形態により年齢分布, 合併損傷パターンが異なっていた.