日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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特集:第39回日本外傷学会総会・学術集会 日本外傷学会トラウマレジストリー検討委員会企画セッション「JTDBの更なる発展へ向けて」
生成AIを用いた日本外傷データバンク自動登録システムの構築
生駒 岳太郎後藤 匡啓青木 誠阿部 智一案野 高志池上 徹則植村 樹木口 雄之阪本 雄一郎園生 智弘竹川 良介田﨑 修中尾 俊一郎花木 奈央米川 力石見 拓
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2025 年 39 巻 4 号 p. 322-334

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抄録
 本研究は, 生成AI技術を活用し, 日本外傷データバンク (JTDB) へのデータ登録を自動化するシステムの構築を試みた記述研究である. 2024年1月から11月に自治医科大学附属病院に搬送された重症外傷を対象とした. 同院で用いられている救急外来の診療記録を構造化するシステムから, 患者記録をテキストデータとして抽出し, QRコード経由で生成AI (GPT-4) を用いることで, 必要項目のみを抽出しJTDBへの登録を行う仕組みを構築した. 対象項目はJTDB 198項目中148項目とし, 人による登録を正答とした場合の正答率を評価した. また, 項目を7カテゴリに分類して平均正答率を算出した. 55症例の試験的評価では, 148項目の平均85% (±5.9%) と高い正答率を示した. カテゴリでは年齢・性別 (100%) や外傷の種類 (98.5%±2.8%) などが高い一方, バイタルサイン (75.7%±25.6%) 等では課題が残った. 今後, プロンプトエンジニアリングの改善や人間による確認プロセスの導入により, 精度向上が期待される.
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