日本外傷学会雑誌
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上腕骨近位部骨折後の左腋窩動脈仮性動脈瘤に対してステントグラフトによる血管内治療を施行した1例
川村 祐介土井 智喜松本 匡洋加藤 真高橋 耕平岩下 眞之竹内 一郎
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論文ID: 35.4_02

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抄録

 上腕骨近位部骨折に伴う血管損傷は報告が少なく治療は定まっていない. バイアバーン®は外傷または医原性血管損傷へ適応がある. 症例は87歳男性で体動困難で受診した. 患者は3ヵ月前に左上腕骨近位部骨折を受傷していた. Hb6.0g/dLと貧血があり, 出血源検査目的の造影CT検査で左腋窩動脈に仮性動脈瘤を診断した. 左前胸部にペースメーカーが留置されており外科手術を避けてバイアバーン®による血管内治療を選択した. 左橈骨動脈から逆行性にアプローチしステントグラフト圧着で仮性動脈瘤消失を確認した. 術後もエンドリークや位置異常はなく転医した. 腋窩動脈損傷へのバイアバーン®による治療は低侵襲であり, 外科的修復が困難な場合にも有効な治療手段となる可能性がある.

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