日本外傷学会雑誌
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鋭的外傷診療のスキルアップのために〜南アフリカ外傷外科研修〜
山路 文範田邉 文登坂 裕也河内 順岡田 英志Kaylin NaidooRiaan PretoriusDevorah Wineberg
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論文ID: 38.3_10

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抄録

 日本において銃創の経験を含めた外傷外科医の育成の必要性は認識されているが, 国内のみでその経験を十分に得ることは難しい. 南アフリカ, ヨハネスブルグのソウェト地区にあるChris Hani Baragwanath Academic Hospitalは戦場の異名をもち, 銃創や刺創を含めた外傷が非常に多い. 指導医を中心に教育体制も確立しており, 各国から研修生が絶えず訪れている. 筆者はその病院で外科医として4週間のObservership, 11週間の外傷外科研修を行った. 11週間の研修期間中に, Trauma部門全体で刺創516名, 銃創236名を含む合計1,187名の患者を重症初療室で対応し, 手術件数は緊急開腹手術 168件, 開胸手術 21件を含む321件であった. 重症初療室での初期対応や, 手術から病棟での術後管理など, チームの一員となり充実した研修が可能である. 外傷外科のスキルアップの場として南アフリカ共和国は非常に優れており, 今後も定期的な提携が望まれる.

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