行動分析学研究
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自閉児における刺激等価性の形成
山本 淳一
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1987 年 1 巻 p. 2-21

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抄録

本実験の結果, 一対構成課題による忽意的見本合わせを訓練することで, 自閉児においても, 視覚刺激間の対称性および等価性が成立し, それは5つのメンバーを持つ刺激クラスにまで拡張しうることが明らかになった。Sidman et al(1982)が定義した, 対称性を含む推移性も, 3名中2名の自閉児において, 訓練後即座に成立した。等価性テストの成績が低下した場合でも, テスト試行そのものは操作しなくとも, その成立の必要条件を構成する訓練手続きを操作するだけで, 成績が上昇することがわかった。特に, 等価性の成立を促進するには, (1)同一のテスト・ブロックをくり返し施行する, (2)各刺激セットについて, 設置刺激または移動刺激のいずれか一方に固定した訓練だけでなく, 双方の役割を持たせるよう訓練すること, などが有効であることが示唆された。すべての被験児について, テスト施行中においても, 終了後においても, 成立した各刺激クラスに共通の名づけ反応はなされなかった。このことから, 外的な音声反応は, 等価性成立のための必要条件ではないことが示唆された。特定刺激セットの3種の刺激のうち2種のみが, 各試行においてランダムな組み合わせで, 設置刺激として呈示された場合でも, 3種のメンバーを持つ刺激クラスが成立することが示された。

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© 1987 一般社団法人 日本行動分析学会
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