研究の目的 公立小学校における学級規模ポジティブ行動支援の実践に向けた遠隔コンサルテーションの効果について検討することを目的とした。研究計画 ABCデザインおよびABCDデザインを用いた。参加者 公立小学校5年生の児童25名と担任教師1名であった。介入 担任教師に対してテレビ会議システムを用いた遠隔コンサルテーションを5回実施した。学級における実践では、ポジティブ行動マトリクスの作成と掲示、帰りの会でのpositive peer reporting、担任教師による行動を特定した称賛を実施した。行動の指標 授業準備行動(3時間目開始前に授業準備ができている児童の割合)、着席行動(3時間目の授業開始前までに全員の児童が着席することができたか否か)、給食準備行動(4時間目終了後から給食当番が給食室に向けて歩き始めるまでの時間)を担任教師が記録した。結果 遠隔コンサルテーションにより計画された学級における実践を行った結果、授業準備ができている児童の割合および授業開始前までに全員の児童が着席できた日が増加した。また、給食当番が給食室に向けて歩き始めるまでの時間も短縮された。結論 遠隔コンサルテーションにより学級規模ポジティブ行動支援が一定の介入整合性をもって実践され、マトリクスの掲示、positive peer reporting、担任教師による行動を特定した称賛を組み合わせた支援により、児童の目標行動も増加した。また、児童と担任教師に対する質問紙調査の結果、遠隔コンサルテーションおよび学級における実践の社会的妥当性も示された。
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