抄録
本研究では、レスポンデント条件づけによる皮膚コンダクタンス反応(skin conductancc rcsponse, SCR)に、ノード距離(すなわち、等価クラスの2つのメンバーに介在するノードの数)による効果が現れるかを検討した。条件1では、7名の被験者を用い、まず4つのメンバーから成る2つの等価クラス(すなわち、A1・Bl・C1・DlとA2・B2・C2・D2)を形成した。次に、被験者に対し、D1の提示には電気ショックを通電し、D2の提示には通電しない条件づけの手続きを行った。そして、2つのクラスのメンバー全てを提示し、それらに対するSCRを測定することにより、DJ-が獲得した条件づけの機能が同じクラスの他のメンバーに転移するかを調べた。SCRの平均反応量のデータによれば、条件づけの機能の転移がある程度示された。更に、Dlと2つのノード(すなわち、BlとCl)によって隔てられたA1に対する平均SCRは、ノードに隔てられていないClに対する平均SCRよりも小さかった。この結果は、SCRに対するノード距離の効果がある程度現れたことを示していた。条件2では、他の7名の被験者を用い、刺激等価性の成立を調べるテストを転移を調べるテス1・の終了後に行った。それ以外は、条件1と同じ手続きで実1験を行った。しかし、平均SCRのデータに転移とノード距離の効果は現れなかった。本実験の手続きを改善し、条件づけによるレスポンデン1・反応に対し、ノード距離がどのような効果を与えるか更に詳しく調べる必要がある。