2023 年 37 巻 2 号 p. 166-181
研究の目的 スライディングボードを用いて患者をベッドと車椅子間で移乗介助する技術を習得するための教育プログラムの有効性を検討することを目的とした。研究計画 教育プログラムを行う介入群とベースラインを継続する対照群の群間比較を行う実験デザインを採用し、さらに介入群に対してベースライン、介入1、介入2、フォローアップを設けるABCAデザインを用いて個体内比較を行った。場面 専門学校の演習室で行った。参加者 作業療法学を学ぶ学生36名が参加した。介入 ベースラインは適切な移乗介助方法を示すビデオ教材①の視聴、介入1は移乗介助の習得率のフィードバックと習得率上昇時の言語的賞賛、介入2は難易度の高い行動系列を詳細に示したビデオ教材②の視聴、フォローアップはベースラインと同様とした。行動の指標 移乗介助技術の習得率を従属変数とした。結果 移乗介助技術の習得率は、対照群に比べて介入群が高率を示した。結論 移乗介助技術習得において、習得率のスコアフィードバックや言語的賞賛、さらに難易度の高い行動系列を詳細に示したビデオ教材を用いた教育プログラムが有効であることが示された。