2024 年 38 巻 2 号 p. 141-147
目的 本ガイドラインは、強度行動障害に関する行動分析学に基づく支援を実施する上での基本的なルールを定め、支援者が適切な臨床活動を行うための指針となることを目的としている。概要 強度行動障害のある人への支援は、個人のQOLが向上することを目標に問題行動を最小化するよう個人の生活環境を再構築し、個人の行動レパートリーを拡大することが期待される。一方でこのような人たちは暴力や脅迫、身体拘束の乱用に晒されるリスクが高く、支援者は常にそのリスクについて予防することが重要である。加えて、適切な支援を行うために機能的アセスメントを実施し、強度行動障害が起こりにくい環境設定を行い、その人の望ましい行動レパートリーを拡大するような個別の行動支援計画を立案する必要がある。支援に際しては、標的行動の記録や評価、支援計画の修正を行うことで効果的な支援に取り組むことが重要である。強度行動障害の支援では家族支援を実施し、支援者の孤立を防ぎ、家族や支援者同士が自分の意見を自由に表明でき、尊重される支援体制を醸成することが求められる。