認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
展望
不眠症状の改善をもたらす認知行動的要因とその媒介効果に関する展望
乳原 彩香石川 信一
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2020 年 46 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

不眠症状に対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia: CBT-I)は、その有効性が確認されているものの、改善メカニズムは明らかではない。本稿では、不眠症状の改善に寄与する認知行動的要因を取り上げ、その研究動向の整理と今後の展望を行うことを目的とした。国内外の複数のデータベースにて、英語と日本語にて「insomnia」「CBT-I」「mechanism」「mediator」にあたる検索語を用いて検索を行い、6編の研究を採択した。そのうち4編の研究が媒介分析を実施していた。その結果、睡眠に関する非機能的信念、安全確保行動、入床時間の変動性、身体的・認知的過覚醒がInsomnia Severity Indexによって測定される不眠症状の改善に媒介することが示された。最後に、現在までの研究動向を踏まえ、不眠症状の改善に媒介する認知行動的要因に関する研究展望が論じられた。

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© 2020 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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