認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
展望
教育分野への認知行動療法の適用と課題
石川 信一小野 昌彦
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 46 巻 2 号 p. 99-110

詳細
抄録

学校における行動的・情緒的問題は近年は増加の一途を辿っている。そのため、この社会的問題に対する適切な支援と予防は急務であるといえ、現在のエビデンス水準と適用可能性を鑑みると、認知行動療法が重要な役割を果たすと考えられる。教育場面における認知行動療法の現状を展望すると、不安とその関連する問題、抑うつ、怒り、不登校に対する指導・助言や予防的取り組みに関する研究が積み重ねられてきた。以上を踏まえ、認知行動療法を教育場面で効果的に適用する際には、科学者、教育者、支援者、創造者としての姿勢が求められることが議論された。そして、認知行動療法は、個別の指導・助言、集団に対する介入、「チーム学校」としてのアプローチが可能であることが示された。今後の課題としてエビデンスの更なる蓄積、教育・研修方法の構築と普及、組織的・大局的な活動の必要性が述べられた。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top