本研究では、1年8カ月教室不登校であった中学2年生男子(A)に転校後の教室登校行動再形成と維持を目的に包括的支援アプローチを適用し、その効果を検討した。Aの教室不登校は、学業不振、年齢相応の持久力の不足、社会的スキルの不足が不登校発現前条件、教室での泣き叫び行動が発現条件、泣き叫び行動などに対する校長室や保健室に滞在させる対応、遅刻・早退の放置が維持条件と考えられた。そこで、将来像の明確化、学習指導、社会的スキル訓練、体力訓練による発現前条件の低減、泣き叫び行動消去のための機能分析による随伴性マネージメント、遅刻・早退の消去のための随伴性マネージメント、休み方の指導を実施した。2.5カ月後、彼は教室登校し、中学卒業まで継続して教室登校した。高校進学後も予後良好で難関大学に進学した。教室不登校用の行動アセスメントを追加した包括的支援アプローチは、教室不登校の転校後の教室登校行動再形成と維持に有効であった。