生物教育
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研究論文
キイロショウジョウバエの簡易培地
前川 洋
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2000 年 40 巻 2 号 p. 58-63

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抄録

中学校,高等学校において,キイロショウジョウバエに限らず,遺伝実験はほとんど行われていない.遺伝実験に使われる生物として,キイロショウジョウバエが有効と考えるが,キイロショウジョウバエの遺伝実験が普及しない原因の1つは,餌である培地を作るのにかなりの手間がかかることである.

そこで,本研究は,学校現場でキイロショウジョウバエを用いた遺伝実習を普及させるために,キイロショウジョウバエの簡易培地を作製した.乾燥マッシュポテト(雪印乳業株式会社),ドライイーストを溶かしておいた缶入りNEWカロリーメイト(大塚製薬株式会社,以下「液体カロレーメイト」という)で簡易培地を作製し,家庭内蒸し器で滅菌した.防剤としてp-ヒドロキシ安息香酸n-プチルを使い,液体カロリーメイトに加えておいた.ハエの成長で比較してみると,この簡易培地は市販されている簡易培地(Fomula 4-24 instant Drosophila medium BLUE,以下「ブルー培地」という)に比べて,優れていることがわかった.しかし,飼育ビン1本当たりの材料費を比べると,プルー培地が約27円に対して,この簡易培地は約23円で,特に安価に作製できるとはいえない.そこで,高価な液体カロリーメイトの代わりにスキムミルク(雪印乳業株式会社)を用いた.液体カロリーメイトの時の同様に防黴剤とドライイーストを加え,滅菌後使用した.この簡易培地の場合,材料費は約8円に抑えることができ,また,プルー培地と同程度の優れた培地であることがわかった.

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© 2000 一般社団法人 日本生物教育学会
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