生物教育
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報告・資料
水田栽培をとりいれた中学校理科教育
中里 直矢沢 重雄市来 秀章飯塚 光司
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2000 年 40 巻 2 号 p. 64-70

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抄録

都会の中学生の生活には,自然環境が少ない.そのため,多くの生徒はイネについてよく理解をしていない.それは生徒達がイネに直接触れる機会がなかったからである.そこで,中学校でイネの栽培を実行することにした.都会の生徒達に,イネの生産地に住む生徒達が体験するような実際の水田環境を体験させることを目的とした.

実践を通じて,多くの生徒が水田栽培に参加した.生徒達にとって重要だったことは,イネの栽培方法と,以前認識できなかった重要な日本の食料を自分達で栽培できたことを実感したことだった.また,水田は屋外の“アクアリウム”であり,水田環境の重要性を理解する場となることがわかった.収穫後,授業でイネの収 量調査を行った.授業中,生徒達は実際に収量調査を行うことによって,その上,イネについてより理解を深めることができた.

本実践を行った1993年は冷夏により,広い地域で凶作となった.このため,本実践を通して水田と気象の関係について改めて考えさせられ,今後はそのことを明確にしたい.教師として我々は,中学生に水田環境と地球環境の重要性を理解できるように取り組んでいきたい.

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© 2000 一般社団法人 日本生物教育学会
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