2001 年 42 巻 1 号 p. 2-10
繊毛虫ゾウリムシは細胞生物学における最も重要な材料であるだけでなく細胞の構造や生理などを生徒達に理解させるための優れた教材である.それ故,生きたゾウリムシを生徒達に提示することは非常に望ましい.ゾウリムシは,様々な培養液で,比較的容易に培養できるが,それらの培養液の調整や滅菌は面倒な作業である.それ故,教育現場では,より簡便なゾウリムシの培養法の開発がもとめられている.0.1%カロリーメイト液がゾウリムシの培養液として用いることができることは既に猪狩(1992)によって報告されている.そこで,本研究ではカロリーメイトを含む様々なソフトドリンクでゾウリムシが培養できるかどうかをより詳しく検討した.その結果,0.1%カロリーメイト液がP. trichiumの培養に最適であることを確認した.また,この場合,ゾウリムシの培養初期密度は定常期の細胞密度にほとんど影響を与えないということも分かった.さらに,カロリーメイトに含まれるビタミン類がゾウリムシの増殖にとって重要な成分であることが示唆された.