2002 年 42 巻 3 号 p. 126-135
3種のコウジカビ属(Aspergillus oryzae, A. niger, A. sojae)を小麦フスマを用いて培養し,酵素を抽出し,エチルアルコールで沈殿させた.こうして得たα-アミラーゼ粗酵素標品をNative-PAGEを用いて分析し,ヨウ素デンプン反応を利用してゲル上のα-アミラーゼを検出した.また,粗酵素標品をアルギン酸カルシウムゲルに固定化し,温度がα-アミラーゼのデンプン液化 活性に及ぼす影響をヨウ素デンプン反応を利用して調べた.フスマ培養や,エチルアルコールを用いた酵素の沈殿方法は比較的簡単な実験器具で実施できる.生徒が自分で微生物を培養し,酵素を抽出し,得られた酵素標品を使っで性質を分析するといった一連の実験を行うことにより,生徒の酵素実験に対する興味関心を増すことが期待できる.また,生徒はこの実験を通して,微生物とヒトの生活との関わりをも学ぶことができる.これらの酵素実験は,特に高校生物の課題研究や探究活動に適した教材であると考える.