2003 年 44 巻 1 号 p. 10-18
光合成色素から植物の系統・進化を考察させるための授業実践を行った.生徒は,次の5種類の植物:原核生物のユレモ属の一種(藍藻類)および真核生物の乾海苔(紅藻類),ワカメ(褐藻類),アオミドロ(緑藻類),ジャゴケ(コケ植物)を用いて,光合成色素の定性的な分析実験を行った.授業後のアンケート調査結果から,生徒は光合成色素の定性分析を通して,①酸素発生型の光合成をする原核生物と真核生物との共通性を,また②植物間の多様性を,さらには③緑藻類から陸上植物への進化を考察することができたようである.系統学的に異なる植物間の光合成色素を定性的に分析して比較する実験は,生徒が植物進化を理解するうえで効果的であると考えられる.