2021 年 63 巻 1 号 p. 22-29
講義形式の異なる2校の高専を比較して,高専における有効な生物学教育法の検討を行った.A高専では,モジュール型アクティブラーニングを実施しており,B高専では,聴講型の講義を実施した.アンケート調査により,生物学の講義に対する学生の意識を比較したところ,勉強の必要性と楽しさの感じ方に差は見られなかった.また,多くの学生が,役立つと感じ,将来も役立てたいと答えた.どちらの講義も満足度が高く,講義の成功が伺えた.しかし,学習意欲に関しては,A高専は,61%の学生がやる気を感じているのに対して,B高専では,40%であった(p = 0.03).また,A高専では,69%の学生が講義を面白かったと答えたのに対し,B高専では,55%しかなかった(p = 0.02).差が見られた要因の一つとして,講義形式の違いが考えられ,モジュール方式,多様な講義形式と評価形式,アクティブラーニング法が,学習意欲の向上と講義を面白く感じることに,有効であることが示唆された.