2024 年 65 巻 3 号 p. 135-143
平成29年改訂中学校学習指導要領解説理科編では,第2学年「動物の体のつくりと働き」の単元において,食物が物理的及び化学的に消化され,栄養分が吸収される仕組みを理解させることが示されている.生物における消化の働きを物質の粒子の変化として生徒が理解することは重要である.しかし,粒子の組成に注目した消化に関する実験では,生徒が膜を通過する分子の大きさの程度を実感することが困難である.また,消化の働きや仕組みに関する学習理解については,溶解するという誤概念をもつ生徒が多いと報告されている.そこで本研究では,消化の働きについて「食物を吸収されやすい小さな分子に変化させること」を生徒に実感させる教材を開発し,教材としての有効性を検証した.
開発した教材はビーズやブロックを分子と見立て,消化の働きや仕組みを理解させるモデル教材である.消化前後での物質の大きさを捉えさせる教材として,ビーズを連結することで高分子を表現するモデルを開発した.また,人の体内で行われる「消化」・「吸収」・「合成」の仕組みを理解させる教材として,ブロックの分解・運搬・組み立ての活動から消化の働きを実感できるモデル教材を開発した.これらの教材を用いて,消化の働きにおける物質の変化と,分子の大きさの関連に注目させること,消化の必要性を理解させる授業実践を行った.
授業実践後の結果,生徒の約8割が消化の働きを理解することができた.また,分子の大きさの理解も改善された.これらのことから,本教材は消化の働きについて,粒子の概念で理解させることができたと考えられる.