実生活にバイオフィードバック技法を適用するため,振動覚とα波フィードバックとの関係を検討した。(1)振動覚外乱のある環境での聴覚フィードバックの効果,(2)振動覚フィードバックと聴覚フィードバックとの比較。被験者8名を2群に分け,A群は,第1過程では振動椅子で第2過程では普通の椅子で聴覚フィードバック訓練し,B群は逆順で実施した。実験結果によると,振動覚外乱のある環境でも訓練によってα波増強は可能であった。なお,外乱条件下でのフィードバック訓練にとって,準備訓練としての無外乱条件でのフィードバックは必ずしも重要ではない。振動覚フィードバックの効果については,聴覚フィードバックに比べて注目すべき差異は認められなかった。振動覚フィードバックの当初はα波活性がかなり抑制されたが,訓練に伴って聴覚の場合と同程度のα波増強の効果が認められた。