バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
九大心療内科におけるバイオフィードバックの臨床応用(シンポジウム : バイオフィードバックの臨床応用 : 再活性化を目指して)
赤嶺 真理子菅原 英世中橋 幸代藤沢 幹一郎久保 千春
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2003 年 29 巻 p. 15-20

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抄録

九州大学心療内科での入院治療におけるバイオフィードバック療法の有効性と症例の予後を評価した.また2症例の具体的な治療内容を示し有用性について考察した. 最近11年間に当科に入院してバイオフィードバックを行った症例は延べ39例であった.疾患の内訳は痙性斜頚25例,書痙10例,その他の神経筋疾患4例であり,平均年齢は40.2歳であった.主治医による退院時評価は改善28例,やや改善7例,不変1例,事故退院2例,検査のみ1例と71.8%が改善以上であった.予後調査から,全疾患を合わせた症状の程度はバイオフィードバック療法を行った入院治療後に半減し,退院後から調査時点まで(平均57ヶ月間)変化していないことが明らかになった.次に,2症例の治療経過を示した.1例目は症状に心理的要因も推察されたが,当初は心理的介入に防衛的であった.しかしバイオフィードバック療法は身体からの治療として導入は容易であった.セッションを続けることで患者-医師関係が良好となり心理的介入が容易になった.2例目はバイオフィードバック療法により心身相関の気付きが得られた.以上のように,本治療法は身体的な治療としてのみではなく,心理的介入への導入としても有用である.

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© 2003 日本バイオフィードバック学会
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