Rechtschaffen and Kalesによって提案された睡眠段階の判定のための国際標準判定基準による評価では, 入眠困難者の入眠期構造は一般の睡眠に問題のない者と大きく変わらないとされることがしばしばある. 本研究は入眠困難者の入眠期の客観指標が一般の者と異なるか検討することを目的とした. 主観的な寝つきの悪さを確認するために, 客観的な指標には9段階の脳波段階および自律神経活動を用いた. 対象者は精神生理性不眠症患者群 (PPI群) 7名, 一般統制群7名であった. 分析の結果, PPI群はH4からH8までの各脳波段階の潜時が一般統制群より延長していた. さらに, 交感神経活動の指標とされるLF/HFの平均値は各脳波段階出現時点でPPI群のほうが高かった. われわれの研究結果は, 脳波段階基準と自律神経活動の指標の組み合わせが, 入眠期における詳細な変化を捉えることができ, 主観的な入眠困難を反映する指標として有効である可能性を示唆するものであった.