バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
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女性労働者の更年期症状・不眠を改善するストレスマネジメントの効果検証:ライフログ解析によるパイロット研究
中尾 睦宏倉田 由美子小林 如乃橋本 佳純塩貝 有里岩井 文大槻 朋子片山 璃沙子谷 康雄小林 毅
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2026 年 53 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

 神奈川県科学技術イノベーション共創拠点推進事業(神奈川県未病プロジェクト)では,女性の就労・健康支援の一環として,「更年期症状の緩和に向けたライフログ等からの要因探索」をテーマに社会実装研究を進めている.本論文では初年度の実証結果をまとめた.

 研究の介入期間は2025年1~3月で,神奈川県内事業所の40~50歳代の更年期症状を自覚する女性従業員30人を対象に,ウェアラブルデバイス(スマートリング)およびシート型体振動計(睡眠時)の使用と,定期的な日誌やアンケートの回答を通じた連続的な状態把握をした.介入としては,更年期症状と睡眠改善のためのカウンセリングと認知行動療法によるストレスマネジメントを組み合わせたプログラムを,オンラインで研究期間中に実施した.

 その結果,介入プログラムの前後で,アテネ不眠尺度が平均(標準偏差)で4.0(2.8)→2.9(1.8)と有意な改善を認めた(p<0.05).また更年期症状の有訴率については,肩こりが15→7%と有意に改善した(p<0.05).クッパーマン更年期指数や簡略更年期指数は,スマートリングの心拍変動やシート型体振動計の睡眠時呼吸イベント指数と,ベースライン期において有意な関連があったが(どちらもp<0.05),プログラム期間前後の有意な改善はなかった.ただ両更年期指数のプログラム期間前後の変化量は,ベースライン期のアテネ不眠尺度や心の健康自己診断チェックシート得点(SRQ-D)と,有意な関連があった(どちらもp<0.05).またSRQ-Dの変化量は,ベースライン期のアテネ不眠尺度やシート型体振動計で計測した入眠時間などと,有意な関連があった(どちらもp<0.05).

 本プログラムはリモートで実施する計2時間程度の簡易なものであったが,睡眠の質の改善に伴う更年期症状への軽減効果が期待された.今後も,フォローアップを含めた実証研究を続けていきたい.

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