行動医学研究
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原著
有酸素運動が疲労感に与える影響および運動に伴う疲労感とセルフ・エフィカシーとの関連
荒井 弘和岡 浩一朗堤 俊彦竹中 晃二
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2005 年 11 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

本研究の目的は、中等度の強度の有酸素運動に伴う疲労感の変化を検討することであった。さらに、疲労感の変化と一過性運動に対するセルフ・エフィカシーの変化との関係を検討した。16名の大学生または大学院生が、本研究の被験者として招集された。運動セッションに伴って、1)疲労感を測定する日本語版 Iceberg Profile、2)中等度の強度の運動を継続できるというセルフ・エフィカシーという2つの測定尺度が用いられた。被験者は、自転車エルゴメータで、中等度の強度のサイクリングを20分間行った。さらに、コントロール条件として、被験者は20分間の読書を行った。運動が疲労感に与える影響を検討するために、繰り返しのある分散分析を行った。しかし、分散分析の結果、条件の主効果、時間の主効果、および条件×時間の交互作用は認められなかった。この結果は、中等度の強度の運動が疲労感を増強しないことを示している。相関係数の算出によって、運動に伴う疲労感の変化量とセルフ・エフィカシーの変化量との関係を検討した。疲労感の変化量はセルフ・エフィカシーの変化量と関連していなかった。本研究の結果は、運動に伴う疲労感とセルフ・エフィカシーが、独立して生じる可能性を示唆している。

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© 2005 日本行動医学会
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