抄録
本研究は、対人不安を構成する状態的要因である自己呈示効力感が、心臓血管活動および心理的反応に与える影響を検討した。20人の大学生は、2人の評価者の前で2つのスピーチ課題を行った。1回目のスピーチ課題終了後、スピーチ能力に関して虚偽のフィードバック(高得点もしくは低得点)を受けた。安静および課題の各条件において、血圧、拍動間隔、心拍出量、総末梢抵抗を測定した。また、AACLとPANASにより実験参加者の主観的感情を測定し、STAI-Sにより状態不安を測定した。それらの心理指標は、安静後と各条件の間に回答を求めた。その結果、低得点フィードバック群においてスピーチ課題中の収縮期・拡張期・平均血圧が、高得点フィードバック群よりも増加した。また、低得点フィードバック群における心拍出量およびネガティブ感情が、高得点フィードバック群よりも顕著に上昇した。以上の結果から、対人不安を構成する重要な要因である自己呈示効力感の低下が、心臓血管活動の亢進を引き起こす可能性が示唆された。