行動医学研究
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原著
医学部卒業時に求められる行動科学に関するコンピテンシー
―デルファイ法による調査結果―
行動医学コアカリキュラム作成ワーキンググループ堤 明純 石川 善樹乾 明夫井上 茂島津 明人諏訪 茂樹津田 彰坪井 康次中尾 睦宏中山 健夫端詰 勝敬吉内 一浩
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2014 年 20 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

行動科学について、医学生が卒業時に求められるコンピテンシーを明らかにすることを目的として、デルファイ法による調査を行った。日本行動医学会教育研修委員会の下に設置されたワーキンググループで、行動科学(行動医学)に関して、医学生が卒業時までに身につけておきたいと思われる知識や技術(コンピテンシー項目)のリストアップを行い、日本行動医学会評議員111名に対して、2ラウンドのデルファイ様式のオンライン調査に参加を呼びかけた。電子メールによる呼びかけに対し26名が参加した。参加者のうち、17名は心理学、5名は臨床、2名は看護、5名は社会医学のバックグラウンドを有していた(一部重複あり)。8名は大学医学部での講義の受け持ちを持っており、教育歴は平均11年であった。2回の調査で「説明もしくは概説できる」と集約されたコンピテンシー項目は、ストレスとコーピング、動機付け、行動療法、認知行動療法、利用者-医療者関係、医療者関係、クオリティ オブ ライフ、ソーシャルサポート、セルフ・エフィカシー、刺激統制、リラクセーション法、アドヒアランス、服薬行動、傾聴技法および質問技法であった。「知っている必要あり」と集約されたコンピテンシー項目は、情報処理の自動化、ローカスオブコントロール、ティーチング、社会的認知、性行動、エンパワーメントであった。回答数は少ないものの、専門家からの意見として得られた今回の所見は、我が国の医学部における行動医学のカリキュラムを開発するにあたって参考になると考えられる。

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© 2014 日本行動医学会
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