本稿では、1) 日本における労働災害事故の現状、2) 労働災害事故の原因究明の現状、3) 労働安全衛生対策の現状をのべ、最後に4) 疫学からみた労働災害予防研究への提言を行うことを目的とした。日本の労働災害死亡事故は1970年から1986年まで急激に減少したが、最近10年は、その減少は多くの労働災害事故予防対策にもかかわらず、顕著ではない。
そこで、労働災害事故原因究明の現状とその対策から、疫学の観点から労災事故予防に向けて次の4つの提言を行った。
1) 事故報告情報の系統的記述疫学的研究、2) 事故原因究明へ向けて、分析疫学、介入研究の応用、3) 事故対策の評価に疫学的手法の応用、4) 事故予防のための学際的研究の推進