行動医学研究
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原著
IBS症状をもつ非患者群の行動様式に関する検討
長谷川 久見子端詰 勝敬中野 弘一坪井 康次
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2001 年 7 巻 2 号 p. 125-133

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抄録
過敏性腸症候群は、腸症状を呈する一般的な疾患であり、一般人口の中にもIBS症状を有するが病院を訪れないものもいることが知られている。
今回、我々はIBS様症状を呈するものの、病院を訪れない群の行動様式、心理的特徴、生活の質などについて検討を行った。
ローマの診断基準に基づく腹部症状、ストレスコーピング、ソーシャルサポート、行動様式、身体・精神症状、エゴグラム、QOL、セルフエスティームを含む調査用紙を作成し、健康と考えられる大学生179名 (男性61名、女性118名) を対象に調査を行った。
ローマ診断基準に基づき、IBS診断基準を満たすnon-patient IBS群 (9人、全体の5%)、腹痛を有するが診断基準は満たさない特定不能群 (63名、35%)、腹部症状の認められない無症状群 (107名、60%) に分類し、比較検討を行った。
Non-patient IBS群と無症状群を比べると、能動的なストレスコーピング様式をとり、攻撃的な行動様式をとり、身体症状、精神症状を多く認める傾向があった。QOLは低下する傾向があり、ソーシャルサポートの低さを認めた。
今回の結果はIBS患者群の行動様式、ストレスコーピング、認知面の治療に役立つと考えられる。
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© 2001 日本行動医学会
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