抄録
本研究は,登校拒否症に対して継時近接法とトークン・エコノミー法の併用法を適用した1症例を報告し,この技法の治療効果について検討したものである。クライエントは13歳の男子中学生で,小学6年の2学期から中学入学まで欠席し,中学1年の1学期末からインテーク時まで連続して17ヵ月間不登校状態であった。登校行動の獲得に継時近接法が適用され,その分化強化をトークン・エコノミー法で与え,トークン・エコノミー法の下位目標行動項目を順次変更することで継時近接法の役割を果たさせた。裏打ち強化子は3種類が使用された。この治療技法で,クライエントは5ヵ月で登校行動を獲得した。その後も登校行動の維持を目的にトークン・エコノミー法が適用されたが,不安定な登校が続いてから,再び登校行動が回復した。