抄録
本研究は,拒否児の社会的スキルを査定するために,ソシオメトリック指名法とPEI(Pupil Evaluation Inventory)の項目を用いた仲間指名尺度を6年生の児童152名に実施した。その結果,ソシォメトリック指名法によって分類された拒否児は,攻撃的な子どもと引っ込み思案の子どもから構成されているが,従来いわれていたよりもかなり多い引っ込み思案児がこの中に含まれていることが明らかにされた。さらに,仲間指名尺度の結果によると,拒否児は,他のソシオメトリックタイプの子どもに比べて好意性が低く,しかもソシオメトリック評定点も低いことが分かった。同様の結果は,攻撃的な子どもと引っ込み思案児の間でも見いだされた。この結果から,拒否児や引っ込み思案児は・仲間との相互交渉に必要な社会的スキルに欠けており,そのために仲間からの受容が悪いことが示唆された。