行動療法研究
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不安反応の指標間synchronyに及ぼす分析方法の影響(原著)
岩永 誠
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1991 年 17 巻 2 号 p. 72-78

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抄録

本研究は,刺激強度の違いが不安反応の指標間synchronyに及ぼす効果について検討することを目的とした。刺激強度の違いを実験条件とし,7mAの電撃を与える高強度(S)条件と3mAの電撃を与える低強度(W)条件の2条件を設けた。被験者は男子大学生24名で,いずれの条件とも受けた。相互相関分析の結果,S条件において,主観的な不安と心拍水準との間でsynchronyがみられたが,主観的な不安と短周期の心拍変動(α058い0.1Hz)ではdesynchronyを示すことがわかった。それに対して,主観的な不安と長周期の心拍変動(0.008い0.05Hz)では,刺激強度に関係なくsynchronyを示した。指標間synchronyの程度は心拍数の処理方法による影響を受けており,不安をアセスメントする際には,不安反応の処理の仕方にも注意する必要のあることが示唆された。

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© 1991 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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