行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
遺糞症への行動療法的アプローチ(原著)
西川 潔赤木 稔吉岡 重威
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1992 年 18 巻 1 号 p. 18-26

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抄録

遺糞症24名の患者に,道具的条件づけを中心とした治療を行い,治癒16例,軽快4例,脱落4例,有効率83.3%を得た。緩下剤は,多くの症例で排便を容易ならしめるために併用した。誘因・増悪因子は,放任的な親,厳格な親による排便の躾上の失敗と思われるものが多く,その他としては片親の死亡や同胞の出生,環境の問題など多彩であった。男児が女児の2〜10倍多いと言われていたが,それほど著しい性別差はなかった。我々が行ったこの方法は,保護者の積極的な参加,年長児では患者の同意が治療効果をより向上させると指摘したい。言い換えれぽ,両親と患児の動機づけがこの治療法では重要である。

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© 1992 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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